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著者:須坂蒼
挿絵:高橋悠
発行:2001年10月
定価:900円(税込)
ISBN:4-89601-550-9 C0293 \857E
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「…素直に声を出せ。いつものようにな…」誰もいない会社の一室、もてあそぶように言葉で嬲る誠に瀬菜はがんじがらめに囚われていく――。新入社員の瀬菜は、憧れの若き社長・誠がいる藤之宮産業に入社した。ある日、仕事に厳しく冷たく傲慢な誠に弱みを握られそれをタテに強引に躰を奪われてしまう……。「愛人契約」の名のもとに所かまわず躰を求められ、尊敬と戸惑いの狭間で揺れ動く瀬菜。嫌がりながらも「孤独な誠に近づきたい…」そう思い始めた瀬菜の恋の行方は――?
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「社長、なにを…!?」
「誠に信じてもらうためなら、どんなことでもする」と、瀬菜はいつも自分に言い聞かせていた。しかしさすがに「寝る・寝ない」ということは、もともと選択肢に入っていない。尊敬はしていたけれど、今まで誠をそういう目で…恋愛や、ましてセックスの対象として見たことはない。
だから誠がこれからなにをしようとしているのかわからず、頭の中は混乱していた。
ネクタイがほどかれ、シャツがはだける。誠の細い指が瀬菜の胸をつーっと滑る。と、その感触でようやく我に返り、誠の肩に両手をかけて力一杯押し戻した。
「やめてください…! いくら社長でもこういう冗談は…」
しかし誠は片方の手で瀬菜の右手首をつかむと、机の上へぎゅっと押し付けて固定させ、誠を拒む左手を挟んで押しつぶそうとするかのように、体を密着させてきた。瀬菜の背は机につくくらいに反りかえる。
「…いたっ…い…やだっ…」
瀬菜はとっさに足で蹴ろうとしたが、体は誠と机の間に挟まれてやや宙に浮き、じたばたするだけで思うように動かない。
誠は空いているほうの手を使い、瀬菜の乳首の先を爪で柔らかくひっかくようにはじいてきた。爪は小刻みに往復し、その動きに促されて瀬菜の左乳首は徐々に隆起し、ぴんと尖っていく。心地良い刺激に瀬菜はつい体をよじらせた。
「…は…ぁっ…」
そんな風に自分で触ったことも、まして触られたこともない。快感は乳首の先から肩の付け根、手首の先…と徐々に広がっていき、全身が少しずつほぐされていく。
しかし同時にそんなことをされて感じている自分が嫌で、瀬菜はなんとかそこから逃れようと腰を動かした。だが誠は逆に瀬菜の上へ体重をかけてきて、圧迫を強める。
瀬菜の体は机の角部分に押しつけられ、ズキズキと痛んだ。
「…い…痛い、です…離して…」
「まだ痛いことはしていない」
「ちが…、とにかくおかしいです…こんなの…もう、やめ…」
すると誠は強引に瀬菜の体を持ち上げて、机の上へ横たえさせる。なすすべもなくあお向けの姿勢にされ、瀬菜はあわてて声を上ずらせる。
「…社、社長…!?」
「こういうベッドはどうだ…窮屈か?」
なんとか机から降りようとしても、再び誠に上から押さえつけられて身動きが取れない。背中が冷たくて、瀬菜は机の表面を覆うつややかな光沢を思い出した。
「…やっ…! 降ろして…やです!」
しかし誠はそれに答えず、瀬菜の耳の穴に長い舌を差し入れる。
「ひゃっ…」
乳首への刺激でじんじんとしていた体に再び強い痺れがおとずれた。
誠の舌は穴の中を丹念に動きながら、鼓膜に触れそうなくらい深くまで瀬菜の耳を犯していく。ちゅくちゅくと液の粘る音が頭の中のほうから聞こえてきて、なぜか卑猥な気分が体の中に満ちていく。穴の奥から舌が引き抜かれる度に、皮膚の表面がぞわっと鳥肌立ち、まるで体を内側から舐められているような錯覚に陥る。
「…ふ…ぅっ…」
耳にこれほどの快楽を感じる細胞が備わっているのは意外で、瀬菜は思わずつやのある声を漏らした。抵抗していたはずの両手はいつの間にか誠の背中に回っていて、彼のスーツの裾をぎゅっとつかんでいた。
誠は瀬菜の耳から口を離すと、耳元でささやく。
「…感じたのか? 正直に答えろ…」
しかし瀬菜は答えられずに、ただあえぎながら唇を動かしている。すると誠は半ば開かれたその唇に右手の中指を押しこみ、瀬菜の口腔内へスルッと這わせた。
「ぅ…むっ…」
誠の中指はあの時のようにほろ苦い血の味ではなかったけれど、切った部分はまだ完全に治っていないのか、傷跡が筋状に盛り上がっているのを舌で感じた。
「…返事をするんだ、水野。それともきみの口はしゃぶるほうが好きなのか?」
誠はふっと耳穴の奥に熱い吐息を吹きかける。
体がゾクッと震え、瀬菜は思わず声を漏らした。その拍子に開かれた口から、誠の指を伝って自らの唾液が伝い落ちる。
「このだらしない涎が、きみの答えだな」
瀬菜は恥ずかしくてかあっと体が熱くなるが、さらに追い討ちをかけるように誠は言った。
「きみはどうやら穴の中が感じやすいようだ…では、こちらの穴はどうだ」
なんの躊躇もなく、誠は瀬菜のパンツからベルトを外し、下着と一緒にそのまま膝の下までずり下ろす。
「…うぁっ…ま、待ってくだ…」
まるで下半身の皮膚をいきなり剥がされた気がして驚き叫んだが、相変わらず上半身は強く押さえられて、抗うことを許されない。
さっきまで自分が働いていたところで、しかも誠の目の前で裸にされるのは、考えられる限り最も屈辱的な行為だった。瀬菜は顔をそむけながら、羞恥で声を震わせて言った。
「…社長、ひ…ひどいです…こんなの、おかしい、僕は…」
「その『社長』と呼ぶのはやめてくれないか。セックスはきみの業務ではない」
誠がなぜこんなことをするのか、瀬菜にはわからなかった。なにか瀬菜のしたことに対する「罰」でもあるのだろうか…しかし誠だってこんなところを見られたらまずいに決まっている。
社長室はオートロックになっているとはいえ、三國は合鍵を持っている。彼が退社したところは見かけたけれど、いつ戻ってこないとも限らない。いきなり入って来られたら、もう言い訳はできない…。
そんな瀬菜の心配をよそに、誠は瀬菜の両足を持ち上げて、自分の肩の上へ担ぐようにのせた。
「…ゃっ、だ、だめ…は、恥ずかしい…! 社…む、ぐっ…」
社長、と叫ぼうとした口を再び誠の唇に塞がれる。
瀬菜の体は折り曲げられて、腿が自分のはだけた胸にぴたりとくっついている。
露わになった瀬菜の性器にちょうど誠のベルトの金属部分が触れ、敏感な体はその刺激にさえ忠実に反応してピクンとのけぞった。すると、さらに性器の下にある瀬菜の入り口部分に新たな冷たい刺激がずずっと挿しこまれる。
「…んぁっ…!」
「俺の指は、冷たいか…水野」
入り口に突き立てられたのはどうやら誠の指だったようだ。先ほど中指を瀬菜の唾液でたっぷりと濡らしていたのは、こういうわけだったのだろう。その感触に頭の中では嫌悪感を覚えつつ、全身はなぜかヒクヒクとわななくように震えた。
指は少しずつ奥へ進みながら、その狭い穴をほぐすようにゆっくりと動く。瀬菜はうめくような声で答えた。
「…冷たい…です、ぬ…抜い…て…お願い…」
「きみの中はとても熱いな…俺の指をあたためてくれ」
そう言うと誠は指の数を一本から、さらに二本へと増やした。
「…うぅっ」
中指と人差し指を交互に動かして瀬菜の肉壁になじませながら、誠は瀬菜の中の細い通り道を少しずつ広げて進んでいく。この動きさえ、もう次の段階に至る準備となっているのだろう。やや太い関節部分が入り口部分を過ぎる度に、瀬菜はぶるっと体を震わせる。体の内側をこすられるという慣れない感触に緊張しながら、体の筋肉を強張らせる。
「水野、力を抜け…入れづらい」
瀬菜の耳元でささやきながら、誠は反対の左手で瀬菜の中心に軽く触れた。
「…っあん…!」
意外なほど強く鋭い快感が走り、瀬菜はおそるおそる自分のそこに視線を移すと、直接いじられていないはずの瀬菜の中心はもうすでに熱く立ち上がっている。いつもなら直接丹念にこすってやらないと、このような状態にならないのは自分が一番よく知っている。しかし今は、耳や乳首への前戯だけで常よりも大きく膨らみ、敏感になっているようだった。
勃起した自分のものを見て、驚きと恥ずかしさがこみあげ、瀬菜は体をよじらせた。
が、誠はすかさず左手で瀬菜の中心を柔かく包むと、長い指を絡ませて下から上へと擦り上げてきた。関節が先端部分や冠状の溝に当たると、その度に体中が溶けるような気持ちよさで覆いつくされる。
「くっ…うぅ…ん」
強張っていた筋肉が自然と和らいできたため、肛門に侵入していた誠の指もより深くまで突き進んでくる。やはり誠の動きはスムーズで、計算し尽くされている。
誠はそうして侵入させた指を一旦止めると、今度は腹側のほうの壁をこりこりとこすり始める。瀬菜は快感の芯をえぐられたように大きく腰を揺らした。
「…ひあぁっ…」
「…この壁の向こうにきみの前立腺や精嚢がある…授業で習ったか?」
誠は指を動かしながら、まるで面接官のような口調で瀬菜に問いかける。指の腹でその部分を突かれる度に激しい快感が腰から体全体に広がり、瀬菜は身もだえしながら答えた。
「あっ…ん、お…ぼえてま…せん…そんなことっ…」
「きみのことだ。試験は従兄弟が代わりに受けてくれたんだろう?」
意地悪な質問に否定の言葉を返そうとしたが、誠は左手で性器の根元をもみほぐしながら、右手の指の動きを速めてきたので、瀬菜は狂ってしまいそうなくらいの気持ち良さに耐えかねて、別の言葉をこぼした。
「や…やめて…お、おかしくなっちゃう…」
「やはり…思った通りだ。きみは穴ならどこでも、いじられるのが本当に好きらしい…」
誠は穴からずるりと指を引き抜くと、ようやく自らのものをその入り口にあてがった。指とは異なる熱さ、太さを感じて瀬菜はいつの間にか誠の背へ回していた腕に力をこめた。
しかし誠は一瞬だけ、残酷とも取れるような美しい笑みを浮かべると低い声で言った。
「怖がることはない、頭では追いついていないようだが、きみのここはもうすでに俺を欲しがっている…」
重量のある肉の感触が瀬菜の入り口をぎゅうっと押し広げた。
「は…ぁっ…!」
瀬菜は苦しくなって思わず足を大きく広げると、誠のものが流れこむように勢いよく瀬菜の体を貫いてくる。
「…あぁんっ…すご…ぃ」
「わかってるじゃないか…そう、今のは足を広げるのが正解だ。飲みこみが早いな…とても初めてとは思えない…やはり、あの同期の男とセックスしたことがあるんじゃないか?」
誠はゆっくり腰を動かしながら、先ほど瀬菜の感じた部分を今度は彼自身の先端で突いてきたので、瀬菜は再び痺れるように強烈な快感に襲われてぼんやりしながら、すぐはっとなって首を横に振る。
「は…ぁっ…初めて…です…っ!」
「その割にはとても嬉しそうな顔をしているぞ…これが天性のものなら、きみは就職先を間違えたかもしれんな」
「ん…違い…ます…嬉しくなんかっ…ぁぅ…」
瀬菜は必死に反論しようとするけれど、その度に誠が腰を揺するのでうまく返事をすることができない。瀬菜の中心もすでに硬く張りつめて、いく寸前まで上りつめている。
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「嘘をつくな。勃起しているくせに…」
誠は親指と人差し指とで瀬菜の濡れた先端を摘み上げるようにつんと弾いた。
「ぁんっ…」
それが引き金となって、瀬菜の中で射精感がぐうっと高まり、もうこらえきれなくなる。
「も…もう…僕、で、出そうです…ん…こ、このままじゃ…しゃ、社長に、かかっちゃう…は、離れ…」
「だから『社長』はやめろと言っているだろ? 一度で理解してくれ」
言い終わらないうちに再び誠の舌が瀬菜の唇を舐め、柔かい部分同士が重なる。今日で三度目のキス…いや、もっとたくさんした気がする。誠とキスをする時がくるなんて思いもしなかった…まして体ごと誠と繋がる時がくるなんて…。
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誠もまた、同様にこんな時がくることなど想像していなかったのだろうか…瀬菜は急に、誠の気持ちが気になり始める。
誠の動きが速くなり、瀬菜も内股が誠の腰と擦れるのを感じながら視線を天井へ移すと、照明が妙に眩しく感じられる。こんな姿勢で光を見上げるのは初めてで、しかし次の瞬間には照明よりももっと眩い白い光が頭にバチッと走った。
「う…んんっ、ふ…藤之宮…さん…!」
瀬菜は初めて誠をそう呼ぶと、誠のスーツの上に薄白い飛沫を飛び散らせてぐったりと果てる。その声に合わせるように誠も瀬菜の中で射精した。
『ぁ、熱…い…』
精液は以前舐めた指先の血よりもずっと熱く、まるでもともと瀬菜の一部であるかのように、瀬菜の体の奥へと流れこんできた。
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